どんなテーマでも大丈夫!小論文の書き方 書き出し 構成 例文の紹介

入学試験や就職試験で小論文が課せられることがありますよね。こないだお客さんが就職試験で小論文に挑んだ事を話してくれたんですが、意外にも彼女は「余裕だった!」と言うのです。私は思わず「ええっ?」って言っちゃいました。なんと彼女は小論文には「テンプレートにハメただけよ」と涼しい顔。後日、彼女はその企業に採用されたと報告してくれました。すごい!さっそく彼女に聞いてみました。

普段から作文に慣れている人なんてそんなにいませんし、「小」とはいえ「論文」ですからハードルが高いイメージに頭を抱えてしまいそうです。でも大丈夫!小論文はある「型」に当てはめれば、書き出し・構成・まとめまで、スムーズに完成するんです。その型を二つ紹介しましょう。それぞれの例文もありますよ!

小論文は「自分の意見」を書く文章

まず小論文とはなんでしょうか?感想文・報告文との違いは何でしょう?
感想文は「自分が感じたこと」を書くもの。報告分は「客観的事実」を書くもの。そして小論文は「自分の意見」を書くものです。ですから課題について「自分の意見」をまず明確にしないと書けないものです。
しかし、小論文の課題が自分にとって興味の薄いものだったり、予想していた分野とズレていたり(ヤマが外れるってやつです)しても、絶対に時間内に書き上げねばなりません。白紙で出せないのが小論文ですよね。

小論文のコツ 小論文は「型(テンプレート)」に当てはめれば自動的に完成する!

小論文は、型(テンプレート)を覚えておいて、それに「当てはめる」「流し込む」のがとっても簡単で確実です。たくさんの型を覚える必要はありません。たった二つの型を覚えておきましょう。

2タイプの「型(テンプレート)」を課題によって使い分けよう

・自分自身について書く場合は「PREP」型
・客観的事項について書く場合は「だろうか た・し・な・よ」型

小論文の課題は、大別すると2種類に分けられます。自分自身について問われる場合と、それ以外(客観的事項)について問われる場合です。つまり以下のようになります。

自分自身について問われる「あなたの〇〇について述べよ」タイプには『PREP』型

例えば
・あなたの長所について書いてください
・あなたが学生時代最も頑張ったことを書いてください
・あなたの目指す社会人像について書いてください
・あなたの職業観について〇〇文字でまとめなさい
など、自分以外の人には分からない、自分の中にしか答えがない事を問われる場合です。就職試験においては定番です。
この場合に使えるのが『PREP』(“ペレップ”とでも読んで覚えましょう)です。
P(Point)=まず結論を
R(Reason)=「なぜなら」
E(Example)=「例えば」
P(Point)=あらためて結論を

の順番で書くのです。これだけでもなんとなく文章のイメージが沸きませんか?

自分以外の事について、つまり客観的事項、例えば社会問題や時事流行、最近の話題について問われる「〇〇についてあなたの意見を述べよ」タイプには
『だろうか た・し・な・よ』型

例えば
・小学校での英語の必修化についてあなたの考えを述べよ
・東京オリンピックについてあなたの考えを述べよ
・原発の再稼働についてあなたの意見を書け
など、誰しも多少は関心があり、人により様々な意見がある事柄に対し、あなたの考えを問われる場合です。
この場合に使えるのが「だろうか た・し・な・よ」です。

このテンプレートは「問題提起」→「反対意見への理解」→「自分の意見を提示」→「理由説明」→「結論」という5つのステップです。「漢字ばっかりで難しそうじゃん!」と思うなかれ、これらのステップを「だろうか た・し・な・よ」で覚えておくんです。
「~だろうか
しかに~だろう」
かし~」
ぜなら~」
って~である」
なんだか書けそうな気がしてきませんか?

実践!二つの型で小論文を書いてみよう!

自分について問われたら『PERP』型で、まず結論から書き出し!

自分自身について問われた場合、その答えは自分の中にしかないのですから、まず冒頭にその答えを簡潔に書き出すことがスタートです。
・結論を先に言ってしまい、
・次になぜそう言えるかの理由を述べ、
・さらにそれを具体例によって説明し、
・最後にあらためて結論を(冒頭部よりも深めて)述べて締めくくる! これで完成です。

では、面接の準備としても使える「あなたの長所について書いてください」という課題で書いてみましょう。
『長所』ですから、「明るい」「優しい」「気配りができる」「協調性がある」「コミュニケーション能力が高い」などが考えられますが、自分に「具体例」ある長所で書き始めましょう!
ここでは「気配りができる」で『PERP』型に当てはめて400字の小論文にしてみましょう。

(まず結論を)私の長所はあえて言うなら「気配りができる」ということでしょうか。なぜなら私は中学校から大学まで運動部に所属し、大学では寮で生活していたこともあり、その間常に上下関係のある集団の中で生活していたからです。そのなかで気配りの大切さや、自分の気配りが相手に感謝される時の喜びを知ったのです。例えば大学時代に、ある親しい先輩がその友達に謝らなければならない状況になったことを知り、私はその先輩の友達もよく知っていたため「〇〇さんに謝りに行くなら〇〇というお酒を持って行ったらいいと思いますよ」とアドバイスしました。これが功を奏したらしく、先輩にとても感謝され、自分も本当に嬉しかったことを覚えています。(あらためて結論を)私は人と接する際、常に何か気配りできることがないか考えており、また自分が相手からの気配りを感じた時にはなるべくすぐに、そして直接、感謝の意を伝えるよう心がけており、そのためかとても良い人間関係に恵まれているように思います。(410字)

どうですか?『PREP』型に当てはめれ、自分に関する課題なら何でも書けそうでしょう!

『だろうか た・し・な・よ』型では「問題提起」が出来ればもう半分完成!

この型は
① 「問題提起」
② 「反対意見への理解」
③ 「自分の意見を提示」
④ 「理由説明」
⑤ 「結論」  5段階からなるわけですが、最初の「問題提起」が出来ればあとはスラスラ書けます!

「問題提起」=「だろうか」の注意点

テーマに対して、まず「~だろうか」という文末で問いかけます。先述のテーマ例なら
「そもそも、小学生全員に英語が必要だろうか?」
「なぜ中学校まで英語に触れる機会がなかったのだろうか?」
「オリンピック閉幕後の施設群は一体どうなるのだろうか?」
「オリンピック開催中の草の根国際交流のメニューは十分だろうか?」
「原発の再稼働はその後の廃炉までの視野を持っているのだろうか?」
「まだ使える発電施設を永眠させることが国益といえるのだろうか?」などが考えられますね。

この「問題提起」の際に大切なのは
賛否両論あること:賛成か反対どちらか一方しかない問題を選ぶと、当たり前すぎるor単なる暴論の小論文になってしまいます。
自分の手に負えること:具体的数値データ等がなくとも、自分の知識で最後まで書ききれる内容である。
社会にとって大切なこと:個人的意見過ぎると説得力が薄い文になる。
この3点に注意して「問題提起」=「だろうか」が出来れば、あとは「た・し・な・よ」にはめれば完成します!

では「小学校での英語の必修化についてあなたの考えを述べよ」を課題に、批判的な視点から実際に小論文を作ってみましょう。

小学校における英語の必修化が迫っている。「国際化」や「グローバル化」への対応らしいが、私は行き過ぎと感じる。そもそも、日本の小学生全員に英語が必要なのだろうか(問題提起)。これから社会人となる我々世代の日常生活の中で英語能力を必要としている人は実際わずかである。たしかに(反対意見への理解)、日本の国際化は進めるべきだし、世の中のグローバル化は止められないだろう。しかし(自分の意見の提示)、小学校の6年間は、まずは基本的生活習慣の確立と身近な自然・科学への正しい理解、そして母国語能力の習得が優先されるべきである。なぜなら(理由説明)、こういった日本人としての基本的スキルが不十分な子供たちが、仮に今までよりも多少英語の知識を身に付けたとしてもそれは所詮付け焼刃であり、真の国際化やグローバル化への対応とは言えないからである。よって(結論)、小学校での英語の必修化に際しては子供たちの他教科の習熟度が低下しないよう、精神的負担にならないよう最大限の配慮が必要だと考える。(400字)

いかがでしょう。この型に当てはめるなら英語の必修化を「歓迎する立場」でもスラスラ書けるのではないでしょうか。

もう小論文は怖くない!ですよね!
さあ、入学試験も、就職試験も、どんと来い!