手作り甘酒を味噌に混ぜて発酵復活!腸内フローラも喜ぶ台所自由研究

甘酒がちょっとしたブームですね。スーパーに、瓶詰め・パック詰めの甘酒が何種類も並んでいる、なんてことは今までなかったんじゃないでしょうか?


     ↑スーパーに何種類も甘酒が。
      ですが、ここでは市販の甘酒は使いません。

 私も甘酒の「手作り」を楽しんでいますが、単に飲んで味わうだけではちょっと飽きてきました。作るのは超簡単なので、飽きたらしばらくやめて、また作りたくなったら作ればいいんですが、なんか面白い活用法ないかな~とキッチンを見渡しました。そうだ!

安物の「死んでる味噌」に甘酒を混ぜたら「生きてる味噌」へと復活するのでは?理論的には正しいはず!
早速やってみました~。

市販の味噌の大半は「死んでる味噌」

そもそもですが、自家製味噌は「美味しい味噌」「とても美味しい味噌」「めちゃくちゃ美味しい味噌」「手前味噌」など、いろいろありますが、市販の味噌は「死んでる味噌」「ほぼ死んでる味噌」「生きている味噌」の3通りしかありません!


     ↑ズラリ並んだ味噌だが…

見分けにくい!

市販の味噌は当然「原材料名」を表記せねばなりませんが、加熱殺菌しているか否かは表記する義務がないため、消費者には「死んでる味噌」「ほぼ死んでる味噌」「生きている味噌」の区別がしにくくなっています。
私としては加熱殺菌した味噌は味噌にあらず、「味噌風大豆ペースト」とでも改称すべきだと思いますが、消費者よりも企業を優遇する日本の風土はどうしようもありません。


     ↑大半は「死んでる味噌」

市販の味噌を「死んでる味噌」「ほぼ死んでる味噌」「生きている味噌」の3通りに判別する方法ですが、まず「死んでる味噌」から。

死んでる味噌

これは加熱殺菌した味噌で「パッケージに通気孔がない」ことで区別するしかありません。死んでる味噌に「無添加」とか「天然醸造」とか「国産材料」とか書いてもな~んのアピールにもなりません。


     ↑無添加ですが、加熱殺菌されている。

加熱殺菌により麹菌が死んでおり、発酵が完全に止まっているので、パッケージを完全密封してもよいわけです。大量生産・流通・保管が可能となり当然価格も安いです。
一応、味噌の味はしますが、麹菌は死んでいるので、それを我々が食しても、とくに身体に良い理由は何もありません。ちなみにスーパーの棚に並んでる味噌の4割はこの「死んでる味噌」ですね。


     ↑完全密封です。


     ↑確かに添加物は無いんですが…

 ちなみに「だし入り味噌」は、自ら「死んでる味噌」を高々と宣言している味噌です。当然ながら各種エキスの他にアミノ酸が添加されており、そもそも料理が苦手な主婦をターゲットにしていますね。


     ↑「だし入り味噌」は死んでる味噌


     ↑アミノ酸も添加されてます。

ほぼ死んでる味噌

次に「ほぼ死んでる味噌」ですが、これは「原材料名」に「酒精」または「アルコール」と書いてあるものです。これは加熱殺菌の代わりに酒精(アルコールの意味)を添加して麹菌を仮死状態にしているものです。


     ↑せっかく国産材料なのに…

もちろんパッケージに通気孔はありません。カップ詰めよりも袋詰めの場合が多いですね。アルコール、つまり液体を添加しているので、無添加の味噌よりドロリとしています。
メーカー側は「麹菌は死んでません、眠っているだけです」と言い訳をしますが、実際に我々がこれを使って調理をして食す過程で、仮死状態の麹菌が活性を取り戻すことはありません。スーパーの棚に並んでる味噌の3割はこの「ほぼ死んでる味噌」ですね。


     ↑酒精(アルコール)が添加されています

生きてる味噌

さて、肝心の「生きてる味噌」ですが、これはよく見ないと分かりませんが、パッケージに通気孔があります。なぜかと言えば麹菌が生きていて、まだ発酵が続いているので微量の二酸化炭素が発生し、通気孔が無いとパッケージが膨張してしまうからです。


     ↑非加熱をアピールしてますね

またメーカー側も麹菌が生きていることをアピールしたいので「生きてる」とか「生詰め」とか「非加熱」とか書いてある場合が多いです(ただし、「死んでる味噌」「ほぼ死んでる味噌」でも似たようなこと書いてる詐欺まがいの味噌もあるので要注意)。


     ↑非加熱とは書いてませんが…

私としてはこの通気孔の存在を消費者から見えやすくアピールすればよいのに、なぜか見えにくく、どこが通気孔なのか分かりにくくなっています。


     ↑ふたの裏側を見ると通気孔が


     ↑同じく通気孔が


     ↑しかし表側からは分かりにくい!

私がメーカー側なら、パッケージに目立つように赤い矢印で「ここが通気孔です!」と正々堂々アピールしますがねえ~。
やっぱりこの「生きてる味噌」は他の2者と比べて割高で、スーパーの棚に並んでる味噌の3割しかないのが現状です。

味噌の「手作り」はハードル高いよね?

長々と書きましたが、消費者の7割は「生きてる味噌」を食べていないのが現状ということです。では、その7割の方々に「味噌は手作りしましょう!」と言うのはどうでしょう?ハードル高いですよね。意識して「生きてる味噌」を買っている方々にとっても味噌の「手作り」は気軽に取り組めるものではありません。


     ↑味噌の手作り、してみたいけど…

なんせ味噌作りって二日仕事だし、100%成功するとも限らない。しかも結果が分かるのは半年先っていうんだから、味噌を手作りする家庭が絶滅寸前なのも分かります。
そこで!「市販の死んだ味噌に生きた麹菌を混ぜて、生き返らせよう!」つまり「死んだ味噌に手作り甘酒を混ぜて、生き返らせよう!」ってのはどうかってことです。やってみました。

でも甘酒は手作りを!

さて、ここで誤解しちゃいけないのが、「死んでる味噌に死んでる甘酒を混ぜても意味ないよ」ってことです。つまり市販の甘酒を混ぜても、これもまた死んでるので、あくまでも「手作りの甘酒」を混ぜるってことです。
甘酒の手作りなんて、ハードル高いよ、面倒だよ、とおっしゃる方、まあそう言わずに「甘酒 手作り」で検索してみてください!甘酒作りはメチャクチャ簡単です。失敗するなんて考えられません。せっかくここまで読んでくださったんですから、甘酒、作ってください!
間違っても市販のパック詰め、瓶詰めの甘酒を使わないで!これらも「死んでる甘酒」です。私に言わせれば「甘酒風飲料」ですね。


     ↑すべて「死んでる甘酒」です

甘酒の作り方はここでは概要のみ紹介します。
・スーパーで「麹」を買って来る
・買って来た「麹」の裏面の「甘酒の作り方」に従う
 以上です…っていうのは不親切かな?
ええい、もう、1行で書くなら、
麹とご飯と水を混ぜて45~60℃で5~8時間保温する…です。
めちゃくちゃ簡単、絶対失敗の心配なしです。材料の配合の割合は「麹」裏面のレシピに従えばいいし、保温方法は炊飯器の「保温モード」または魔法瓶を使うのがよいでしょう。
一応、おススメのサイトと、動画も紹介しておきましょう。

簡単に作れる魔法瓶を使った甘酒の作り方

決定版! 甘酒レシピ。簡単&失敗しない基本の作り方

死んでる味噌に甘酒を混ぜると変化が!


     ↑我が家の手作り甘酒
      「玄米麹」と「玄米」で仕込んだ
      スーパー甘酒ですよ。


     ↑死んでる味噌に甘酒を1割くらい混ぜる


     ↑当然、少しゆるくなります。
      甘い香りがしますよ。

甘酒混ぜると案の定、発酵復活!当初パッケージの側面に空隙など見えなかったのに、甘酒を混ぜて4日ほどで、側面に空隙が自然発生しました!発酵が再開した証拠です。


     ↑混ぜた直後は気泡ないのに


     ↑気泡が見えるようになります

心なしか香りも強くなった気がしますし、まろやかな甘みが加わり、味も一ランク上がった気がします(個人の感想です)。これぞ即席の手前味噌!実際に観察したのは一カ月くらいでしたが、もちろん常温に置いてなんら問題ありませんでした。

生きてる味噌を加熱しないで!

さて、最後にもう一つ、釘を刺しておきたいことがあります。せっかく生きた麹菌を投入し発酵を復活させた味噌を、「60℃以上で加熱しない」ことです。
多くの主婦は死んでる味噌を使うことが普通になっているので、味噌を沸騰させたり煮込んだり、加熱することに躊躇がありません。そもそも死んでる味噌を加熱することは全然もったいなくないですが、生きた味噌を60℃以上で加熱するのは非常にもったいないことです。なぜか?


     ↑麹菌、酵素が生きてるのは60℃まで

そうです、生きた麹菌や酵素を食するメリットを、調理の段階で全部失ってしまうからです。
味噌と言えば味噌汁!味噌を入れるのは具材に火が通った後、適当に出汁の温度が下がってから、食卓に供する直前にしましょう。
私のお店の味噌汁は、鍋には味噌を入れません。60℃くらいに保温している出汁と具材をお椀に注いでから、そこに味噌を溶いています。こうするとまず香りが違いますし、もちろん食しても美味しいし、生きた麹菌や酵素が腸内まで届くってわけです。
「麹菌」と、そしてその産物である「酵素」が腸内まで生きたまま届くってことは、いわゆる「腸内フローラ」を健全に保つのに大きく貢献します。味噌を加熱しすぎないという習慣は和食においてとても大切です。

ちなみにワカメとネギも味噌と同じタイミングで入れますよ。あらかじめ入れておくと、ワカメはふやけちゃうし、ネギは香りが飛んでしまうので。

いずれは味噌の手作りを!

いかがですか?中学生~高校生くらいなら自由研究にも持って来いの題材ではないでしょうか?ぜひお試しあれ!
これをきっかけに、いずれは「味噌の手作り」までチャレンジしていただけたら幸いです。