カーオーディオ ステレオの音を改善!イコライザーで賢く調整!

私のお店のお客さんの中にオーディオマニアの方がいて、私とも話が合います。実は私もオーディオ好きで、自宅のリビングにはそこそこのオーディオ機器が鎮座しております。こないだ、そのお客さんとカーステレオの音についてあれこれおしゃべりしました。

カーステレオ カーオーディオはスピーカーの位置次第

ダッシュボードに上向きなら良いが


      ↑ダッシュボードの左右に
       配置されてるなら良いが…

カーステレオのスピーカーの位置は、国産乗用車ならダッシュボードに上向きに埋め込まれているタイプが多く、その場合はスピーカーの音はフロントガラスに反射して搭乗者の耳に届きます。フロントガラスはスピーカーの音をほとんど劣化させることなく反射するので「オーディオルーム」とまではいかなくとも十分いい音が楽しめます。まあ超高級車の中には、オーディオにもこだわっていくつものスピーカーを聞く側にとって理想的な位置に配しているものもありますよね。

ドアマウントスピーカーは音がこもる!

しかし、いわゆる箱バンやトラック、軽トラなどの貨物車はダッシュボードの奥行きが少なく、左右のドアにスピーカーを配置している、いわゆる「ドアマウント」の車がほとんどです。また乗用車でもスピーカーをドアに配置している車種はけっこう多いです。


      ↑軽トラのドアにあるスピーカー


      ↑ほぼ足元です

私も仕事柄、ずっと箱バンと軽トラに乗っていて、どれもスピーカーはドアマウントです。仕事で車に乗る時間も結構長いため、カーステレオは必須ですが、いかんせん、ドアマウントのスピーカーから聞こえる音は、こもっていて全然良くありません。なんせ足下で、しかも自分にとっては真横を向いて鳴っているわけですから、良い音のはずがありません。音源が同じでも自宅のオーディオで聴く音とは雲泥の差です。
まあ、自宅リビングの音と車の音を比べるのはあんまりかと思いつつ諦めていたのですが、2004年頃に装着したSONYのカーステレオCDX-F7700というモデルに、なんと「ドアマウントの音を改善する機能」ってのがついていたんです!

ドアにあるスピーカーの音を良くしよう!

SONYの「DSO」機能が秀逸だった


      ↑秀逸だったSONY CDX-F7700

それがDSO(ダイナミック サウンドステージ オーガナイザ)ってやつで、このボタンを押すと(3段階に設定可能でした)、足下にあるスピーカーが、一気に自分の目の前に移動して正面を向いたかのような錯覚を覚える、革命的な機能でした!
以来、常にこのDSO機能はONにして箱バンでも軽トラでもクリアな音楽を楽しんできました。たまにわざとこの機能をOFFにしてみると即時に音は足下に戻ってしまい、この機能の偉大さを実感していました。


        ↑CDX-F7700の取説の該当部分

さて、そして2019年、ついにこのSONYのステレオが壊れてしまいました。これまでありがとう。またSONYのステレオ買うよ・・・って、あれ?
ええええ~~、SONY、カーオーディオから撤退してんじゃん!もはやSONYのカーステレオは幻~!
やむなくカロッツェリアのカーステレオを買ったのですが、スピーカーの位置は変わらずドアマウントなので、また貧相な音に戻ってしまいました。しばらくはまた諦めていたのですが、ある日ふと思いました。SONYのDSO機能って、所詮はイコライザーをドアマウントのスピーカー用に調整し、プリセットしたものに過ぎないのでは?それなら、イコライザーのあるステレオなら、これをうまく調整すればSONYのCDX-F7700の音響体験を再現できるのでは? ということです。

イコライザーの調整でドアのスピーカーを正面に!

とはいえ、精密な音響測定機器があるわけでもないのに、自分の耳だけを頼りに調整しても所詮は自己満足になります。しかし、信頼できる調整の指針として思い当たるものがあったのです。それがオーディオスピーカーの「周波数特性のグラフ」です。そんなグラフ、どこにあるの?って?
実はオーディオスピーカーのカタログに載っているんです。これを参考にイコライザーを調整すれば、ドアマウントによる音質の劣化を、自己満足でなく、極めて自然な形でリカバリーすることができるはず!と考えたのです。さっそくやってみました。

スピーカーの周波数特性の「逆」に調整

以下、参考にした周波数特性のグラフと、イコライザーの調整です。


      ↑三菱の某スピーカーのカタログより

この3Dのグラフは、スピーカーから聞こえる音を、スピーカーの正面0°から真横90°の範囲で測定したものです。当然、スピーカー正面で測定した音が最も良く、正面からズレるに従い、周波数が高くなるほど聞こえにくくなっていることが分かります。一方で低音~中音は正面からズレてもあまり変わず耳に届くんですね。
つまり、ドアマウントスピーカーは搭乗者にとって真横を向いているので、低音~中音はほぼそのまま聞こえるが、高音域になるほど聞こえにくくなり、その結果こもった音になっていると言えます。
では、イコライザーを活用してこの傾向の「逆」に調整して補正してあげれば、スピーカーの正面で聴くのと同じ音を楽しめるってことですよね?


      ↑ではイコライザーを調整しましょう!

高音域のナチュラルな補強とは

私が試した実際の調整は、1kHz:+2 2kHz:+4 4kHz:+6 8kHz:+8 16 kHz:+10というものです。要するに、低音・中音はそのまま、1kHzから徐々に、高音域ほど増強してやる、というものです。


      ↑高音域を段階的に増強

幸い、自分のカーステレオにはイコライザーのON、OFFができたので、ボタン一つで「聴き比べ」が出来ました。その結果は、想像通り!見事でした!イコライザーをONにすると足元のスピーカーが本当に自分の真正面に瞬間移動したかのような感覚!まさにSONYのCDX-F7700のDSO機能の音響体験を、カロッツェリアのオーディオ機器で自力再現した瞬間でした!

もちろん、お手持ちのカーステレオによってイコライザーの調整可能な周波数は様々でしょうが、考え方は同じで大丈夫です。

低音部も補強すれば完璧

なお、追記すると、カーオーディオのスピーカーは当然小型で、口径が10cmのものが多く、大きくても12cm程度です。つまり、そもそも低音を鳴らす能力が低いのです。しかも左右のスピーカーが向き合ってて互いに干渉して打ち消し合ってます。私は低音部にあたる31Hzと62Hzもそれぞれ+10と+5に補強しています。ただしこれは自分の耳で確認しながら調整しました。


      ↑低音部も補強してやる

…ってな話を、そのお客さんにすると「納得、納得!あんたもいろいろ考えるね~(^^)」って笑ってくれました。
箱バン、軽トラ、トラックなど、ドアマウントのスピーカーの車に乗ってて、カーステレオも良い音で聴きたい方、ぜひお試しくださ~い!