土用の丑の日とは?2020年はいつ?ウナギを食べる意味や由来は?

土用の丑の日と聞けばもは大半の人が「うなぎ!」と連想するのではないでしょうか。毎年7月が近づくと「今年の土用の丑の日は〇月〇日!」と話題に上るようになり、近所のスーパーなんかでも予約が始まったりします。
私の店でも、普段はうなぎを使ったメニューはないのですが、さすがにこの日は特別メニューとして提供しており、毎年好評です。
ところで、ところで、土用の丑の日とは何なのでしょうか?

土用の丑の日とは?2020年はいつ?鰻を食べる意味や由来

暦と関係のある食べ物は数あれど、この組み合わせは有名ですよね。今では夏のスタミナ食の代表格のように考えられている鰻ですが、天然ウナギの旬は実は冬。商品のほとんどが養殖ウナギとなった現代ではすっかり旬がボヤけちゃっているというのが実情ですね。ではそもそも冬が旬のウナギがなぜ夏の食べ物になったのか?意外な歴史があるんです。

今年2020年の土用丑の日はいつなのか?

まず2020年の、つまり令和2年の土用の丑の日は!
7月21日(火)と、8月2日(日)の2回です!「えっ、土曜日じゃないの?」って思ったあなた!「土用」と「土曜」は別モノですよ!まったく無関係です!昨年の土用の丑の日が偶然にも土曜日だったので、間違って認識している人もいるかもですね。

気が早いですが
2021年は7月28日 の1回
2022年は7月23日 と 8月4日 の2回 となります。

『土用』とは?

「土用」とは、暦の上で季節が変わる立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間のことです(※17日間、19日間の場合もあります)。

「土用」の根底にあるのは、中国で生まれた「五行説」という考え方です。

五行説では、世の中の全てのものは、“木・火・土・金・水”の5つに分けられると考えますが、季節も例外ではなく、春を木、夏を火、秋を金、冬を水、そして季節の移りかわる時期を『土』と分類したのです。

となると当然、土用は年に4回あります。
2020年、令和2年は
冬の土用:1月18日(土)~2月3日(月)
春の土用:4月16日(木)~5月4日(月)
夏の土用:7月19日(日)~8月6日(木)
秋の土用:10月20日(火)~11月6日(金) となっています。

『丑の日』(うしの日)とは?

『丑(うし)』は十二支(干支)のひとつで、「ああ、年ごとに決まっているアレか~」と思う人が多いでしょうが、実は年ごとだけでなく、月ごとにも日ごとにも十二支が割り振られており、現代でもその十二支によって様々な行事の日程が決められています。

子(ね) 丑(うし) 寅(トラ) 卯(う) 辰(たつ) 巳(み) 午(うま) 未(ひつじ) 申(さる) 酉(とり) 戌(いぬ) 亥(い)

これが順番に割り振られているので、丑の日は12日周期でやってくることになります。

つまり”土用の丑の日”とは、土用の期間中におとずれる丑の日の事を指しているのです。土用も丑の日も毎年違うので、土用の丑の日も毎年変わります。さらに、土用は18日間、丑の日は12日周期で巡って来るので、土用の丑の日が1回だけの年と、2回ある年が現れるのです。

土用丑の日にウナギを食べる理由

古くから夏痩せに効くとされていた

そもそも、すでに7世紀から8世紀に編纂された「万葉集」には、下記のようなウナギを詠んだ歌があります。

石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに
よしといふものぞ むなぎとり召せ

  大伴家持(おおとものやかもち)

夏痩せにはむなぎ(ウナギ)を食べると良いよ!と石麻呂という人に勧めている歌です。つまりすでに8世紀頃にはウナギは夏バテに効くという考えがあったのですね。

丑の日だから“う”から始まる食べ物

さらに時代は下り、江戸時代頃になると、丑の日にちなんで、“う”から始まるものを食べると夏バテしないと考えられていました。

そのため、うり、梅干し、うどんなど、うなぎ以外のう”から始まる食べ物も土用の丑の日には、よく食べられていたそうです。

そうなんだ!じゃあ「丑の日」なんだからズバリ「牛」を、つまり牛肉を食べればいいじゃん!と考えるのはちょっと待った!江戸時代は4本足の動物の肉を食べることは禁じられていたというのが通説で、ましてや広く庶民の口に入る物ではなかったので、当時としては論外でした。

そういったなかで、あることをきっかけに、土用の丑の日はうなぎ(冬が旬だと考えられていたのに!)を食べることが一気に普及したわけですが、まずはなぜ丑の日がフューチャーされたのか、から順を追って、詳しく見ていきましょう!

五行説・相克

土用は、五行説の考えに基づいているものと先に書きましたが、五行説には「相対するものを向き合わせることで打ち克てる」という考えがあり、それを「相克(そうこく)」と言います。

まず夏は五行では「火」に分類され、これに相対するものは「水」です。さらに十二支で「相克」を考えると、夏の土用は十二支では「未(ひつじ)の月」であり、これに相対するものは「丑の月」であり、これは冬で「水」に分類されるというわけです。
つまり五行説の相克の考え方から、夏(未)に打ち克つのは相対する「丑」ということになり、丑の日がフューチャーされ、丑の日に「う」のつくものを食べると夏に打ち克つ…となるのです。まあ、いわば当時の「言葉遊び」というか、まあ「こじつけ」ですね~。

平賀源内による日本初のキャッチコピー!

しかしこの時点ではまだ、「土用の丑の日=うなぎ」ではなかったのです。なんせ、当時は「ウナギの旬は冬」と考えられていましたから「季節外れ」という感覚だったのでしょう。

そんな江戸時代中期、夏場にウナギが売れず、なんとかしたいうなぎ屋さんが当時の発明家・蘭学者である平賀源内(ひらがげんない1728~1780年)に相談したというのです。
すると源内は「では『本日、丑の日』という張り紙を表に貼りなさい」とアドバイスし、それを目にした人々がみな、うなぎは「う」がつく食べ物だとあらためて認識し、その効果でうなぎ屋さんは大繁盛となり、他のうなぎ屋さんもこれを真似をして広まり、それが今の時代まで続いているというわけです。
この「本日、丑の日」は、日本初のキャッチコピー、コピーライティングともいわれています。

うなぎ以外のおススメ!

というわけで、土用丑の日にはウナギを食べる理由、意外な歴史があるんですね。本当のところ、ウナギを食べなきゃイケないわけではなく、「う」のつくものならいいんですから、昔ながらの「うり、梅干し、うどん」も良いでしょうし、現代ならズバリそのもの「牛肉」を食べてスタミナ付けるのも良いでしょう。この際ですから「う」尽くしのメニューで今年の夏を乗り切ってみては?

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